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「くらやみの速さはどれくらい」エリザベス・ムーン

 面白かった。アルジャーノンに似ている、と思う。僕が自閉症児の親で
あることが問題を複雑にしている。自閉症児(者)がこんなふうに考えな
い事は明らかだ。いかにもこんな風に考えそうだが。こんな風に考えるよ
うになったらもう、自閉症児ではない。だからこんな話は絶対に成り立た
ない。
 読み始めて、違和感がぬぐえなかった。「これは絵空事だ」。しばらく
して、気づいた、これはジャックロンドン、谷口ジローだ、動物小説のよ
うなものなのだ。どちらも、言葉で考えないし、考えられるようになった
ら、根本的に違うものになってしまう。でも感じていることを言葉に変え
れば(そんなことは不可能なのだが)こんな風なのに違いない。
 「アルジャーノンに花束を」を面白く読んだ人には、面白く読めると思
う。実はアルジャーノンも僕は若干の違和感があった。これにもある種、
違和感がある。自分が自閉症者の親だからなのかどうか、よくわからない。
これを読んで自閉症のことがわかったように思われるのがもっとも困る。
小説として楽しんで欲しい。

 結末のこと。
 小説の結末を書いてしまうことは不作法だ。不作法なことをしてはいけ
ない、と教わった。多くの人が、最後にある、解説やあとがきから読むと
聞いた。なぜ、あとがきから読むのだろうか。正常(ノーマル)な人のす
る事は理解できないが、それが普通のことなのだ。
 解説に「意外な結末というわけではない。」とあるが、結末は意外だっ
た。いくつかの想定した結末の中の一つだったが、可能性が低いと考えた
ものだった。「ハッピーエンドに見える結末」とあるが、ぼくにはハッ
ピーエンドかどうか、よくわからない。
「この結果の複雑さは、ちょっと例を見ない。」とあるが、いや、結果は
単純だ。複雑なのは、読者の胸に去来するもののことだ。だから、良い結
末、名作だと言えるのだろう。04527a.jpg

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