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傘がない

 昨日、BSで陽水の番組をやっていて、やっぱり陽水はすばらしいなあと思ったけれど、また「傘がない」のことを思い出してしまった。

 初めてこの曲を聴いたのは、もう昔のことで覚えてないけど、新鮮だった。どこが新鮮かと言われると、覚えてないけど。(歌詞はこちら))

 だいぶたってからだと思うのだけれど、新聞だったか、評論家だか誰だかが
 「全く最近の若いもんはけしからん。自殺が増えても関係ないといっている。」
というようなことを書いているのをみてひっくり返るほどびっくりしたのを覚えている。
 いくらなんだって、そんなこと言うなんて、評論家どころか大人として失格じゃないか。

 もちろん陽水自身がそういう反応を予想しているというか、ロック、パンクと同じで、既成の価値観に反発しているのだ。別に驚くほどのことじゃない、と言うかもしれない。

 もちろんそれはその通りなのだが、そうじゃない、それこそ「問題は」、この歌詞には全く逆の事実というか、意味が隠されている、ということだ。

 つまり、「問題は傘がない」だといってはいるけれど、「都会では自殺する若者が増えている」とこのラヴソングには書いてあるのだ。この評論家がどんな歌を好きなのか知らない。どんな時代にも自殺する若者がいたり、戦争があったり、誰だって社会や政治と無関係では生きられない。でも、たいてい他の恋歌を聞いていると、そんなの頭の中にない。陽水よりずっとノーテンキじゃあないか。(たとえば、いい例が浮かばないけれど「孫」はこちら

 ラヴソングのなかでまで自殺する若者が気になってしまうなんて、現代の(といってももうずいぶん昔のことだなあ)若者はなんて不幸だろうか。

 問題は書いてある字面(じづら)だけじゃない。「書いてある」という事実 and/or 「書いてない」と言う事実だ。

 今も、ともかく世の中軽薄な前向きソングばっかりだ。全然なんにも「感じない」けれど、そこに書かれていること、全然書かれていないこと、から読み取れることがあるのかもしれない。

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