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リハビリの夜 (シリーズケアをひらく) 熊谷 晋一郎 (著)

2012y23reha_2 非常に面白かった。
 著者は脳性麻痺なのだが、健常者の立場から見た正しい動きを強制されてきた、そして、逆に自分の体を出発点とする動きを立ち上げてきた、と言うのだ。
 出生時に障害を負ったことから、リハビリのこと、自分の体のこと、体験や、考えて来たこと、書いてあることはとてもわかりやすく、興味深かった。もちろん完全には感覚的な部分など、実感(想像)できないところや、違うと思う部分もあるが、言いたいことはよくわかるし、多くが共感できる。「なるほど。」

 イリイチ(Illich, 1926-2002)が、正解を知っているというだけで教師(学校)は権力を持っている、とし、脱学校化社会を提唱したのを思い出す。


 面白い本は授業と同じで、余談(じゃないけど)が面白い。
 著者は自分一人で用(便)が足せないので、介助が必要なのだが、一人で外にいる時などは非常に困る。外でトイレに行きたくなる=便意、を不良少年に例えているのだ。はじめは慇懃無礼に「よう」と声をかけてくる。著者は不良に声をかけられたときのように、内心びくりとして怯えるのだが、それをやつ(便意)に悟られると猛攻撃に転じるのを知っているので、気づかないふりをして、、、、「私が焦ると調子づく」「無視すると引き下がる」
 などというのを読んでいると、面白いし、よくわかるし、それから多分著者もひどいいじめにもあったのだろう、そんなこんなを思ってしまう。
 「健常者の規範」が健常者の「あってはならない」領域を健常者が決めつける(と、この通りには書いてないのだが)。その枠から解放されると自由になれる。なるほど。統合失調症の医療現場では、幻聴、妄想(幻覚?)があってはならものから、存在は肯定し、つきあい方を模索する試みがあるそうだ。

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